耳鳴り

ご心配でしたら、まずは気軽にお近くの耳鼻科へ受診してください。

あなたの耳鳴り探索のページへようこそ、あなたの耳鳴り解決へのヒントをご紹介します。
まず、ご自身に向かって確認してみてください。

耳鳴りについて

耳鳴り=病気ではなく、耳鳴=生理的身体感覚のひとつ

耳鳴りがあることは病気。まず、この大きな誤解を解かねばなりません。私自身は、これまで多くの耳鳴を経験してきましたし、現在も経験しています。しかし、それを病気だとは考えていません。

ちょうど皆さんが、今日は肩が凝っているとか、食欲がないといった、様々な生理的なからだの感覚を感じているように、耳鳴は、単なるからだの現状を示す生理的感覚の一つなのです。

もちろん、肩こりや⾷欲低下も、時には何らかの病気の初期症状であったりするように、⽿鳴もそうした場合もあるのは事実です。でも、ほとんどの⽿鳴りは病気ではないのです。とはいえ、自己診断は禁物です。聴⼒検査を経て、難聴の有無と程度の確認といった正確な診断が必要です。実際、耳鳴を主訴に来院された患者さんの中に、他院では異常なしといわれた方でも、多くの耳管開放症の患者さんが発見されています。

Q

音を感じている部位は、どこですか?

A

①耳で連続音として感じる:耳鳴り 明らかに耳でなっていると実感する
左耳からか、右耳からか?
両耳で聞こえる 左右で性質が異なるか、まったく同じか。共通する音と、異なる音がするか?
②耳以外で聞こえる:頭鳴り(あたまなり)
頭・特に脳のある部位で感じる: シーン ジーン セミの声
頭周辺:首に至るまで体で感じる:体動や首の運動により変化したり誘発したりするか?

Q

どんな耳鳴りですか?

A

①耳の中で連続してなっている ジーン、 キーン
②耳で、連続音以外の実感・体感・違和感として感じる。
リズムをもっている音:ドックン、ドックンと拍動する 生理的あるいは病的な血流
痙攣の様にカチカチする
鼓膜と耳小骨に連なる筋肉の痙攣:鼓膜と耳管(鼓膜の後ろの空間である中耳と鼻腔の後端をつなぐ耳管という管状の器官)

Q

いつから悪化、あるいは、つらく感じ始めたか?

A

「2か月前から気になり始めた」という方がいました。確認すると、「そのころから、従来継続していた運動を急に理由なくやめてしまった。丁度、いびきもひどくなり始めて、、。」。多くの場合、耳鳴りが急に自覚され、あるいは、悪化する場合、何らかの要因があります。色々な側面からの探索が必要です。ストレスや、疲労の場合、頑張っている間は、何とか無理に取り組みます。しかし、やりきって、ホッとした時点から、耳鳴が気になり始める場合もあります。

Q

少し気になるだけですか?それとも、とても辛いですか?

A

耳閉感(ジヘイカン:みみが塞がったような感覚、水の中に入ったような感覚、ゴーという感じ)
耳閉感という表現は、専門用語だが、実際には、人により表現方法が変わるので、注意が必要。
耳鳴りや難聴の時に、それを耳閉感と表現する人もいます。
耳鼻科では、難聴がなく、耳垢栓塞(耳あかがたまる)でもなく、耳閉感を訴える病態が、主に二つあります。
①耳管狭窄症 耳管の粘膜は、鼻腔の後端、咽頭の粘膜と連続している。アレルギー性鼻炎や感冒で咽頭炎で粘膜が腫脹すると、耳管の粘膜も腫脹する。結果として、耳管が狭窄して、中耳の内部の圧が陰圧になり、鼓膜の可動性が制限され、結果として、塞がった感じになる。軽度の場合や、一時的なら唾をのむぐらいで回復する(耳抜き)。
②耳管開放症 ストレス状態や、消耗状態、睡眠障害などで、自律神経の活動が不安定になると、耳管を調節する筋肉の活動が低下し、耳管が緩んでしまう(耳管開放)。この結果、中耳の圧が、鼻腔や外界の圧と同じになる。本来は、耳管が閉じていて、中耳の圧が一定に保たれることが必要。この圧がなくなると、耳に違和感が生じて、耳が塞がった、水の中にいる感じなど、様々な違和感を生じる
耳管開放症ページ
2.聴覚過敏
周囲の音が、不快に響いてきこることを聴覚過敏と言います。中耳の圧が一定の時には、大きな音は振動を制限し、小さな音を聞き取るときは振動を増幅する調節作用が働きます(鼓膜や耳小骨に連なる筋肉群による)。しかし、先程紹介した耳管開放症では、中耳の圧がなくなります。結果として、今まで気にならなかった子供の泣き声が、ひどく不快に聞こえるようになったりします。また、ストレス負荷が強いと、脳の感覚でも、過敏が起こり、様々な刺激に過敏におなります。
耳管開放症ページ

Q

耳鳴りに随伴する症状がありますか?あるいは、そもそも、本当に耳鳴りなのか?

A

まず、耳鳴りがあること。次に、どのぐらい気になるか。この2点がポイントです。ふと、ある時に急に気づいた、そう言います。おそらく、元々あったのですが、気がついた。改めて、耳鳴があること自体は、ほとんどが、すでに述べたように生理的な感覚の一つで、全く病的ではありません。こうした場合、様子を見るか、はっきり安心したい場合、耳鼻科で聴力検査を受け、異状なければ、それで終わりです。ただ、症状が強い、ひどく気になる、とても不安といったような場合は、それ自体が治療の対象となります。

具体的な注意点を解説します。

Q

緊急性のある、すぐに受診するべき耳鳴は、どんな耳鳴りですか?

A

①キーンという耳鳴りとともに、明らかに聴力が落ちているのを実感できる場合。ただし、短時間で回復する場合は、一時的な体内の生理的な反応で心配なし。ただし、音が静まって、さらに1日以上難聴が継続する  場合。急性に難聴、いわゆる突発性難聴の有無を確認する必要がある。
②激しいい症状として強く実感される場合。拍動する耳鳴りの多くは、生理的なものです。ただ、後に紹介する耳管開放症では、比較的症状の重い方で自覚されます。さらに、ごく稀には、脳の血流障害に関連する場合もあります。
③片耳の突発性難聴として加療したが、治療しても改善せず、次第に進行。あるいは、治療後再び悪化した場合。ごくまれに、聴神経腫瘍が潜在していることがある。この腫瘍は、とても成長が緩慢なため、注意が必要。

Q

関連する様々な病態

A

以下のような病態は、重なっていることも多く、耳鳴や耳閉感なども、合併することが多い。耳の障害には、耳の関連器官全体、さらには脳の知覚システムのアンバランスが生じます。また、全身のアンバランスが、耳に様々な症状として自覚されます。この視点から見ると、耳は、全身のアンバランスの警報装置としての機能を持ちます。
1.性別との関連
A:特に女性に多い病態
①更年期の随伴症状として
日本人では肩こり、易疲労感、頭痛、のぼせ、腰痛、発汗異常の症状が多いという。耳鳴は、こうした症状にとても関連が深いです。
②女性特有のホルモンのアンバランス
生理の症状として、耳鳴やめまい、頭痛などを実感される方もいます。実際、ピルを服用している若年層が急激に増えているようです。ここで、先程の「ニワトリと卵」の例えが当てはまります。ピルの服用は、生理に関連した症状を原因として、それを止めるという治療です。しかし、心身とライフスタイルのアンバランスの結果として、生理の症状が強くなった。そう考えると、場合によっては、治療することで、本来の原因を放置し、根本的には、より悪化させている可能性もあるのです。
③鉄欠乏性貧血
疲れやすさや、ちょっとした運動負荷で息切れを自覚する場合。一般の検診では、見落とされる潜在性の鉄欠乏性貧血。血中フェリチン値という値を確認する必要があります。フェリチン値は、貯属されている鉄の値で、 いわば、鉄の貯金です。これが不足(50以下)している場合、鉄剤の投与が必要です。また、逆に、この値が高すぎる場合も問題です。体のどこかに炎症がある場合、がんなどの消耗性疾患でも上昇することがあるからです。
④自律神経失調症
頭痛、めまい、肩こり、不眠など。自律神経には、目覚めと興奮の神経である交感神経と、リラックスと休息の神経の副交感神経がある。様々なストレス負荷により、交感神経が優位になる状態が継続した状態が、いわゆる自律神経失調症。この状態では、耳鳴の悪循環に落ち入りやすいことになります。
⑤冷え性
体質的に自律神経のバランスが不安定で、ストレスに負けやすい傾向がある。手足など、抹消の血流が不十分で、冷えを実感する。睡眠も浅く、体力も低い。
⑥気象病
気圧や天候の変化で、耳鳴や耳閉感が生じます。この場合、内耳だけでなく、耳管開放が生じている場合も悪いです。人体には、恒常性という機能があります。体温がその実例です。健全な状態では、周囲の温度が変化しても、体温は一定に保たれます。同じように、外界で気象の変化で気圧や湿度が変化しても、健全な状態では、体内の、気圧や湿度に変化が起きないように守られています。しかし、生命力が低下する、あるいはバランスが悪くなると、外界の変化に影響されやすくなります。これが、いわゆる気象病です。
B.男性に多くみられる
①生きがい喪失として
人間は、生きがい・生きる実感を求める存在です。仕事人間として生きてきた人が、退職後に、やり場のない、思いに駆られることは多く見られます。自分の感情をあまり意識して生きてこなかった方も見受けられます。こうした場合、かなり追い詰められた心境に落ちることも多いです。実際に、うつ病として精神科の受診が必要な場合もあります。しかし、多くの場合、適切なアプローチにより、薬物療法に頼らず、乗り越えることが可能です。
②運動不足として
コロナ禍で、在宅勤務が増えました。多くの方が、運動不足です。結果として、睡眠が浅くなります。結果として、代謝機能が緩慢になり、様々な知覚機能にも影響が出ます。実際、音を知覚する聴覚は、いわゆる神経の活動により機能していますが。その神経活動を支えているのは、新陳代謝の機能です。肥満や運動不足で新陳代謝が低下すると、耳鳴りが悪化することが多いです。いびきが、ひどい場合は、睡眠時無呼吸症のリスクがあります。
睡眠時無呼吸症のページ
③生きるエネルギーの障害として
退職後の生きがい喪失も、生きるエネルギーの不完全燃焼です。行き場を失ったエネルギーが、不安と、恐怖のサイクルに陥ると、破壊的な方向へと、自分を追い詰めることになります。残念ながら、コロナ禍で、多くの老人が、友人や家族との交流が減って、心身共に追い詰められる傾向があります。これも、生きるエネルギーの問題でもあります。
④食品摂取後の一時的な耳鳴り
突然キーンという耳鳴りが始まり、同時に聞こえが悪くなる。しかし、すぐに小さくなり、元に戻る。多くの場合、短時間のこうした耳鳴は、摂取した食品と関連がある。発症は、摂取後、数分から、半日まで幅がある。因果関係を明確にならないこと多い。しかし、敏感な人では、特定の食品摂取との因果関係が明確にできる。例えば、普段は食べない人が、揚げ物を食べた直後。添加物の摂取した場合など。内耳の感覚細胞は、酸化した脂質や食品添加物などに敏感で、一時的に障害を受ける為と考えられます。
2.加齢による難聴と耳鳴りの関連
加齢とともに難聴が進行します。特に、高音部の聞き取りが低下するのが、加齢に伴う難聴の特徴です。耳の聞こえのセンサーである内耳の機能が低下すると、相対的に耳鳴りを自覚される方が増えてきます。
一方、脳の聴覚中枢は、音の入力が減少したことに、戸惑いと混乱が生じます。こうした、葛藤に心理的な不安感や聞こえなくなるこてぇの恐怖感などが相まって、耳鳴りの悪循環が発生します。この場合、補聴器を作成して、脳への入力情報を増やし、聴力を改善すると、耳鳴りの苦痛も軽減することが多いです。
3.睡眠障害との関連
耳鳴で苦しんでいる方では、睡眠障害の傾向が多くみられます。「ニワトリが先か、卵が先か」というたとえがあります。耳鳴りで苦しんでいる方の多くが「耳鳴りが辛くて寝れない」そう訴えます。これは、耳鳴りが原因(ニワトリ)で、不眠が結果(卵)ですね。その実感は、ご本の感じたままの体験です。ただ、実際には、不眠になるような心身の消耗状態が原因(ニワトリ)で、結果(卵)として、今まで気にならなかった耳鳴りが、ひどく気になるようになってしまった、というのが実態である場合が多いのです。いびきが強い場合、睡眠時無呼吸症の可能性も。
睡眠時無呼吸症のページ
4.二つの気質・体質のグループの視点から
①やせ型・神経質タイプ 女性に多い。行き過ぎると、考えすぎに陥りやすい。もともと、低血圧、浅い眠り、冷え性、やせ型。素直な場合、医師のアドバイスにより、順調に回復しやすい場合も多い。生活の質の全般的な見直しが重要。
②メタボ・自信家タイプ 男性に多いが、男性的な女性にもみられる。がっちり型か、肥満な傾向があり、自信を持っている。あるいは、体力に余裕がある。一方で、代謝機能が緩慢で、余剰なエネルギーが、耳鳴りの背景に関与。有酸素運動や、糖質制限など明確な量的なライフスタイルの転換が必要。
注:耳鳴りから薬物依存症への警鐘
睡眠障害や、不安を伴った耳鳴に対して、安易に、薬物療法を行うことに危惧を感じています。我が国では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の安易な投与の問題点が、政府をはじめとして大きな問題になっています。長期的には、認知症にもつながることもあります。薬物に頼る前に、できることはたくさんあります。

当院で行っている主な治療

耳鳴りは様々な原因で発生します。したがって、正確な診断がとても重要です。
そのうえで、適切な治療を紹介します。

01

診療による病気への理解向上

初診から、再診へと進む過程で、一歩ずつ病気の理解へ向けて探索が進みます。遠方の方では、オンライン診療を利用する場合もあります。はじめの目標は、自身の病気の経過を理解して頂くことです。その先に納得がやってきます。さらにいわば、体得(腑に落ちる)の段階。この時点では、症状が改善あるいは消失することが可能となります。治るまでの時間は、経過やご自身との取り組み方次第で変化します。初診時には、簡易カウンセリングを実施します。また、ご希望の方には、マインドフルネスめい想を体験して頂き、自宅でも開始して頂きます。

02

服薬

お薬を希望される場合、体質に応じた漢方を処方します。軽症の場合、これのみで改善することもあります。漢方薬(当院では体質を考慮し、腹診といって腹部の所見も参考にさせて頂く場合もあります。)やご希望の方には、アデホスコーワ顆粒(血流・代謝改善剤)、メチコバール(ビタミン剤)など処方します。

お知らせ

カウンセリング、鍼灸など

カウンセリング・心理療法(自費)

経験の深いカウンセラーの指導のもとで個別化した指導で効率よく学習を進めること。現在のストレス対応は、それまでの生育過程で、誤って身につけてしまったストレス対応癖のなれの果ての必然の結果という側面もあります。こうした視点からは、病気は、偶然の出来事ではありません。病むに至った過程を振り返って、新たな自分を発見し、育てることは、人生の重要な体験の一つです。

鍼灸治療(自費)

首や肩の緊張が強い方、耳の痛みなどで辛い方、 とりあえず症状を軽減したい方、特に高齢者でも 有効例が多いです。

生活習慣の改善

◆めい想・リラクゼーション

リラクゼーション訓練(緊張体質から脱却し、効率よい心身へと進化する)、マインドフルネスめい想、自律訓練法、漸進的弛緩法なども効果的です。

◆運動

日中の適度の運動習慣は、新陳代謝を改善し、深い睡眠に必要な筋肉から分泌される多くの神経伝達物質を準備することにもなります。ただし、耳管開放症では、過度の負担のかかる運動は、かえって症状を悪化させます。実際、免疫系も過度の運動によって低下することも知られています。

◆心身リラクゼーション

ストレッチ、ヨーガや気功のようなゆったりと筋肉をリラックスさせる運動は、副交感神経を活性化させます。

◆呼吸法

呼吸法は、自律神経を活性化し、心身の安定化に有効です。一例として、ヨーガの片鼻呼吸法。

◆食事改善

消化機能の充実、内容の改善、良質の脂質(オメガスリーの多い、アマニオイルなど)・十分なたんぱく質の摂取が重要です。消化機能の衰えが潜在している場合も多いです。また、鉄欠乏貧血の方もいらっしゃいます。タンパク質、ビタミンB群、鉄などに十分配慮が必要です。

また、食品添加物を減らす、精製食品(白砂糖、精製塩)を減らして黒砂糖や天然塩にかえる、調理法の改善(特に揚げる、炒めるといった調理法を減らす)、糖化させない調理法を増やすなど、質の改善も重要です。

◆栄養補助

潜在的貧血(血清鉄やヘモグロビンだけではなく、血液中のフェリチンの測定は必須)、潜在的ビタミン欠乏など個別化した補完療法も大切です

◆嗜好品の卒業

過度の飲酒や喫煙習慣は動脈硬化を促進し、細胞を窒息させます。

◆入浴

睡眠前の1.5時間から2時間以前に上がるか、朝入浴にしましょう。

◆睡眠

この病気に効果がある(特にやせ型、冷え症傾向の女性)加味帰脾湯は、もともと更年期の睡眠障害に効果のある漢方薬です。何より深い睡眠をとれるように、日中のライフスタイルに十分な配慮がいります。十分な睡眠は、日中の生活習慣によって実現できます。現代人の最も大きな問題点は、脳神経ばかりに負担をかけすぎることです。日々の運動習慣や、適切なストレス解消、リラクゼーションがとても大切です。

◆テレビ・携帯・パソコン

視聴時間を制限し、脳神経活動の過剰な興奮、刺激過剰を卒業する。寝る前の1~2時間が重要です。特に、やせ型の患者さんでは、日々神経の消耗傾向があります。可能な限り視聴時間を減らしましょう。

【推薦図書】

  • 最高の休息法 CDブック 久賀谷亮著(ダイヤモンド社)
  • 部屋で自律神経を整える 小林弘幸(興陽館)
  • ヨーガ的生き方で すべてが自由になる! 成瀬雅春(BABジャパン)
  • 都市とめい想 日常こそが最高の瞑想空間 成瀬雅春(BABジャパン)
  • マンガでやさしくわかるレジリエンス 久世浩司著(日本能率協会マネジメントセンター)

【マインドフルネス参考サイト】

  • YOUTUBE マインドフルネス瞑想 ダイヤモンド社
  • YOUTUBE 慈悲のめい想
  • 川野泰周 オフィシャルホームページ

TRT療法(耳鳴り再訓練療法)について

TRT療法(耳鳴り再訓練療法)とは

TRTは、1980年代にジャストレボフ氏が耳鳴りの神経生理学的モデルを発表し、彼と彼の仲間であるハーゼル氏によって1990年代中頃からはじめられた治療です。それまでなかなかよい結果の得られる耳鳴りの治療法がなかった中で世界中に画期的な治療法として広まり、現在でも多くの国で行われている治療法です。TRTでは耳鳴りに対して「順応」という現象が得られることを目的としています。順応とは簡単にいうと耳鳴りに慣れてしまうということです。TRTは音響療法と指示的カウンセリングから成り立っています。

  • 音響療法

    耳鳴りのコントラストをなくすことで耳鳴りを意識させなくする。耳鳴りに順応をもたらす。

  • 指示的カウンセリング

    耳鳴りの不安をなくす。カウンセリングといっても教育的なものが主体で耳鳴りの知識や理解、対応を覚えるもの。

TRT療法のメリット

まず最初に、耳鳴りの存在にだんだんと慣れてきて気にならなくなり、反応性の順応という現象がおきます。これはおもに心理的なことから起きてきます。さらに時間が経過すると知覚の順応ということが起きてきます。耳鳴りを小さく感じ、意識しなくなるようになるのです。これは聴覚系において順応が起きることでなります。

ほとんどの人では自然な経過としてこの2つの順応が起きるのですが、一部の人では順応が起きずに耳鳴りを意識し、さらに耳鳴りの経過を補強してしまうという悪循環が起きてしまいます。耳鳴りは聴覚系と意識情動系の2つから成り立っているので、音響療法で「適切な音を入れること」と心理療法で「耳鳴りについてよく理解すること」で、聴覚と心理面のそれぞれに順応をもたらして耳鳴りが気にならなくなり、さらに小さく感じるようになっていきます。

TRT療法の流れ

  • Step01
    不安の払拭

    はじめに耳鳴りが危険なものではないことを理解していただき不安をなくします。

  • Step02
    音響療法開始

    耳鳴りに対して適切な音響療法(補聴器を含む)を行うことで、音があると耳鳴りが楽に感じるようになります。これは治療を開始して、すぐによくなったと感じる人が大半です。改善が得られるのに時間がかかる場合もあります。

  • Step03
    音響療法経過観察

    音響療法をしていると、耳鳴りに慣れてきた感じがして耳鳴りを苦痛に感じなくなり、イライラを感じることが少なくなっていきます。これも1ヶ月~2ヶ月くらいで感じる人が多くなります。さらにしばらくすると耳鳴りを意識することが少なくなります。

  • Step04
    知覚の順応

    ふと気づくと耳鳴りを小さく感じるようになります。知覚の順応が起きたのです。

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